解題・ミュージックマシーン(5)

というわけで、なんとかサイトのコンセプトを固めて、当時まだ珍しかったJPドメインも取って。HTMLはDreamWeaverを使って半日で作った。デザインは軽くて見やすければなんでもいいと思ってた。白と緑にしたのもなんとなく。開始から終了までデザインリニューアルみたいなものもしなかった。サイトのデザインをころころ変えても読者は別に喜ばないし、だったらなるべく変えないほうがいいと思っていた。

結局最初から最後までずっと同じ形で続けることができたのはよかったんじゃないかな。コンセプトにブレがなかったっていうことだから。

あと当時はミュージックマシーンをパクったサイトもいくつかあった気がする。ひどいのはソース丸ごとコピペとか。でもそんなザコサイトのことはどうでもよかった。ほっといたら勝手にどんどんつぶれていくと思ってたし、実際つぶれていったし。

なんというか、もしぼくがサイト運営者としてすぐれていたところがあったとしたら、それは周りの雑音をほっとくことができた点だと思う。やるべきことがはっきりしていたから、誰に何を言われても迷うことはなかったし、淡々と毎日の更新を続けていくだけだった。たまに苦情のメールが来たりとか2chで叩かれたりとか、そういうのもあったけど、それで落ち込んだこともなかった。ぜんぶ「ふへー」と思ってほっといた。

万人に受け入れられるテキストなんて、結局のところ誰の心も動かさない。自分が書いたテキストによって誰かが不快になるのはイヤだけど、だからって無難なことだけを書いているわけにはいかないのだ。ジャーナリズムを気取ってるわけではないです。ミュージックマシーンはエンタテインメントをやってるつもりだったし、だからこそ、読んでくれた誰かをちょっとだけニヤリとさせるような、無難じゃない何かを書いておきたいと思っていた。怒られないギリギリのところで、なるべく不謹慎でありたいと思っていた。