酔っ払っている

アーティストの人と直接会ったとき、その人のことを好きになるのってなんかちょっと悪いような気がしてしまう。その人自身よりその人が作った作品を好きになるべきなんじゃないかとか、思ったりしてしまう。

どんな悪人でも、どんだけジャンキーでも、なんなら人殺しだとしても、その人が素晴らしい作品を作って、自分がそこに美しい何かを見い出せるなら、そこに存在する感動は本物だし、その気持ちはもうどうしようもない。細野不二彦の「BLOW UP!」ていうマンガに、まさにそんなテーマを描いたエピソードがあった気がするけど。

だから、その人のことは好きだけど、作品にはもうひとつ盛り上がれないってこともあるし、作品は好きだけど、その人にはなんだかなじめないってこともあったりして。難しいものですね。両方ばっちりだったらそれはもうめちゃめちゃ幸福なんだけど。

ニーネの「酔っ払っている」ていう歌に「僕が作った歌なんかよりも / 僕のほうがいいよ / 僕のほうがずっといいよ」っていうフレーズがあって、このことを考えると、その歌がいつも頭に浮かぶ。

自分自身のことを振り返ってみても、僕が作ったナタリーよりも僕のほうがいいよ、とか言いたい気持ちはあるんだけど。仲のいい友達には酔っ払った勢いでそんなこと言ってみたいんだけど。まあよくわからんですわ。