JOYとじょいふる

JOYYUKIの曲で何が好きかって訊かれたら、そりゃあ「WAGON」も「ワンダーライン」も「ランデヴー」も「2人のストーリー」も「大人になって」も最高だけど、でもやっぱり「JOY」なのかもしれないなっていつも思う。

「JOY」っていう曲はどんな曲か。おれはあの曲は「死」について歌った曲だと思う。「JOY」を聴くたびに濃厚な死の匂いが自分の身体にじっとりとまとわりついてくる感じがいつもする。

四つ打ちっていうのは死のビートだと思う。永遠に繰り返されるキックは、おれの身体を杭のように打ち付けて、打ち付けて、その場から動けなくさせる。それに抗うように必死で身体を弾けさせて、それが結果的にダンスみたいなものになる。

「いつか動かなくなる時まで遊んでね」なんて歌われて、「そうか、自分にはそれしかできないんだ」ってやっと気付いたりして。死ぬまでワクワクしたくて、死ぬまでドキドキしたくて、でも結局いつか動かなくなるんだと思い知る。

YUKIはやっぱりものすごい。見てる景色とか持ってる覚悟とかが凡百の歌手とはまるで違う。結局おれたちがそのアーティストのどこに夢中になるか、どこに心を撃ち抜かれるかっていうと、メロディセンスとか気の利いた歌詞のフレーズとか、そんなものではないんです。人間そのもの。その存在感だけが胸をガシッとつかむような感動を与えてくれるし、それだけがおれたちにめちゃめちゃな量の涙を流させる。

ところでいきものがかりには「じょいふる」っていう曲があって、あれはものすごくヘンな歌だと思うんだ。CMなんかでパッと聴いて、脳天気で楽しい曲かと思ったら、マイナーコードに乗っかる歌詞は「じょいふるだって終わっちゃう / エビバデいつか終わっちゃう」っていう、なんだよそれポッキーのCMソングなのにどういうことなのって思ったりして。ライブで聴くとめちゃめちゃ盛り上がって、だけどひたすら切なくて、結局終わりのことばかり考えてしまうっていう不思議な名曲。

楽しい時間はいつか終わる。人生には終わりがある。だからJOYとかじょいふるとか言って、飛び跳ねて、駆け抜けて、この生きてる時間を燃やしていくしかないのなって思う。なるべく余計な燃えかすが残らないようにやれたらいいんだけど。