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解題・ミュージックマシーン(8)

ミュージックマシーンはスタートから2年経ったらすっぱりやめるつもりでいた。始めたときから終わりのことを考えていた。最初はあんな濃度のサイトが5年10年続けられるわけはないと思っていたし、なんとなく2年くらいで終わるのがちょうどいい気がしていた。サイトを始めた直後にはもう閉鎖のときにアップするためのテキストを用意していた(結局公開しなかったけど)。

このあたりの考え方は明らかにムーノーローカルの影響下にある。当時ムーノーローカルというアンダーグラウンドニュースサイトがあって、2001年8月に終了して、ミュージックマシーンはこのサイトの影響を強く受けていた。当時(今もだけど)個人サイトが“終了”するというのは異例のことで、しかもムーノーローカルの終わり方はえらくかっこよくて。その鮮やかな終わりを見て「ああ、自分も何かを始めなければいけないな」と思って作ったのがミュージックマシーンだった。

言い訳をしない、更新を休まない、などサイト管理人としての心構えの多くもムーノーローカルから教わった。今こうしてこんな文章を書いているのも「ムーノーローカル/このwebサイトの読者だった方へ」と「解題・ムーノーローカルの作り方」の影響だと思う。

で、2年限定のはずだったミュージックマシーンをなぜ計画通りに終わらせなかったかといえば、その理由はやっぱり人との出会いに尽きると思う。イベントやオフ会に参加して友達ができたり、好きなアーティストにインタビューしてみたり、メールくれた人と飲みに行ったり。知らない人ばっかのオフ会に行っても、そこにいる誰かが自分のことを知ってたりしてそういうの面白かった。そんでいきなりコアな音楽の話で盛り上がったりして。そんな経験したことなかったからこれすごいなーって思ってた。

あとBBSを作ったのもよかった。当時のウェブサイトは、いわゆるメインコンテンツのほかにプロフィールページやBBSがあったりするのが一般的だったんだけど、ぼくはそのへんわりと慎重で。嬉しそうに掲示板とか作ってあんまり書き込みがなくてしょぼーんとなったりするのはイヤだったから、結局BBSを作ったのはサイト開設から9カ月後のことだった。

でも実際始めてみたら、おかげさまでみんないきなりたくさん書き込みしてくれて。あれは本当に嬉しかったな。BBSを通した情報提供のサイクルができたこともありがたかったけど、それ以上にそこで読者の存在っていうものを初めて意識して、それはミュージックマシーンにとってはすごく大きなことだった。それまでは暗闇に向かってただひたすらに撃ちまくってるだけだったから。あのBBSを見たときに初めて、本当にこれを読んでる人がいるんだなって実感できた。

そんな風にして、自分が予測していた以上のリアルな広がりが生まれて、それは単純に楽しかったし、その先に何があるのか見てみたくなったというのがサイトを続けていこうと思った理由です。それがなかったらとっくに終わっていたと思う。ウェブサイトなんていうものは常に孤独に何の見返りもなく、毎日淡々と更新し続けるものだと思っていたから、そこは嬉しい誤算だった。最初に書いた設計図通りにはいかなかったけど、そっちのほうがずっとよかった。