尾崎豊「LAST TEENAGE APPEARANCE」


尾崎豊のビデオを観ています。1985年11月15日、10代最後の代々木オリンピックプールでのライブを収めた「LAST TEENAGE APPEARANCE」。
いや、これ観てると改めて尾崎豊のものすごさを感じるね。少なくともこのライブの尾崎は神がかってる。
ビデオに収録されてるのは「卒業」から始まって「I LOVE YOU」で終わる全13曲。10代3部作の集大成的ライブだし、明らかに伝説だし、実はこのライブがおれが尾崎を知った初めての映像なんだよね。当時このライブの短縮版をテレビで深夜に放送してて、それを録画したビデオをすり切れるほど観た。中学のときです。当時15歳でいろんなことに疑問を持って不安もあって悶々としてて、そんな時期にリアルタイムに「15の夜」を聴いて心が揺れないわけがない。
改めてこの映像を観て、ほんとにその希有な才能にビビっています。今観てもすごい。いろんなものが奇跡的に重なってこんなことになってる。もし尾崎の声がよくなかったら、顔が不細工だったら、80年代じゃなくて歌詞がこんなじゃなかったら、万人受けするオールドスタイルのロックンロールサウンドを選ばなかったら、缶コーヒーが120円だったとしたら。どれが欠けてもやっぱりここまでの凄みは生まれなかった気がするもんね。きっと何かが損なわれていたと思う。けど、この映像にはそんな惜しいところがまったくない。
「10代の教祖」とか呼ばれて、普通はそんなもん引き受けたくもないし引き受けられるわけもないし、でもそんな状況の中で尾崎は何万人を前にして「笑いたい奴は笑え。俺を信じる奴はついてこい!」なんて言っちゃうわけで。
んでこれは今だからこそ言えることだけど、10代でこんなとこまでたどり着いてしまったら、そりゃシャブに溺れるし、どっかで破綻するし、他人んちの庭で死ぬよね。死ぬ死ぬ。もうしょうがない。そう素直に思えるほどにこの瞬間の尾崎は輝いてる。
ちなみにこのビデオは今はもう売ってないし、DVDにもなってなくて、おれはヤフオクで落としました。早いとこ完全版をDVDで出せばいいのに。ソニーったらバカじゃないの。
どーでもいいけど「15の夜」の英題が「the night」て、それだけでグッとくるよね。おざきー。